なかなか理解されない舌痛症の痛み。原因は不明って本当?
「なぜか舌がピリピリ痛む」「舌がひりひりするけれど、鏡で見たところ、いつも通りで変わりはない」そんな経験はありませんか?
その症状はもしかすると「舌痛症」かもしれません。
今回は、この舌痛症は何が原因で起こるのか、治療方法を紹介します。
舌痛症はどんな病気?
舌痛症は、傷や炎症などこれといった原因が見つからないのに、なぜか舌に痛みを感じる病気です。
痛みは、長く続く時もあれば、全く痛みを感じない時間もあるので波があります。
そのため原因不明の病気と言われています。
さまざまな疾患の可能性をつぶすために検査を繰り返しても原因が見つからない場合に、やっと舌痛症という診断がつく場合もあるでしょう。
舌痛症になってしまう原因
原因不明の舌痛症ですが、痛みが出る原因と考えられているものが大きく二つあります。
・ストレス
舌痛症は心理的な要因が一番強いと考えられています。
そのため日常にストレスを抱えているときの自律神経の乱れによって、痛みを感じるのではないかという考えです。
・ホルモン
舌痛症は更年期女性に多い病気です。
そのため、閉経後の女性ホルモンのバランスが崩れることに起因するのではないか、とも考えられているのです。
その他にも、ビタミンB不足や口腔乾燥、薬の副作用やカンジダ症が要因であると考えられています。
自分でできる対処法
舌痛症かもしれない、と感じた時に自分でできる対処方法はどんなものがあるでしょう。
・ストレスをため込まない・発散する
舌痛症の症状はストレスが要因で引き起こされている可能性が高い、と言われています。
ストレスは身体のさまざまな不調を招きますが、舌痛症も例外ではないのです。
仕事や家庭や人間関係など、日常生活の中で多くの方がストレスを感じながら生活をしています。
予定に余裕を持ったり、自分がリラックスできる場所を見つけたり、心がほっとする時間を持つことが大切です。
散歩やスポーツなど、適度に体を動かすこともストレス発散には良いでしょう。
・睡眠時間をしっかりとる
舌痛症ではストレスや不安から睡眠時間が不足している場合もあります。
早寝早起きをして、睡眠時間をしっかりとることで生活のバランスも整います。
疲れている時は食事をとり、湯船につかって身体を休めましょう。
そしてぐっすり眠れる環境をつくりましょう。
・口腔内環境を清潔にする
毎日の歯磨きはもちろん、歯科医院で定期検診やクリーニング、歯磨き指導を受けましょう。
口の中の不快症状が無いように過ごすことも大切です。
また歯科医院では、歯磨き指導と一緒に舌ブラシの使い方も教えてもらえます。
舌痛症と診断された場合の治療法
病院で舌痛症と診断された場合でも、原因不明な疾患であるため、原因を取り除くための治療法はまだ見つかっていません。
そのため、症状に合わせて緩和させるような治療を行っていきます。
中には、そのうち自然に症状が無くなっていく方もいます。
・抗うつ薬などを用いた治療
舌が痛いのになぜ抗うつ薬が出てくるの?と思った方もいらっしゃることでしょう。
舌痛症は心理的ストレスが要因となっている方もいます。
その場合は、うつや神経症などの可能性もあるのです。
抗うつ薬をしばらく投与して改善されるケースもみられます。
歯科医院では治療や投薬に制限があるので、その際には心療内科や精神科の受診をおすすめする場合もあります。
抗うつ薬以外にも、漢方を処方する医院もありますので、症状や自分の希望も含め、担当医師と相談しながら治療を進めていきましょう。
・生活指導・カウンセリング
生活習慣の乱れはストレスとも深い関わりがあります。
自分では気付かないうちにストレスをため込んでいたり、睡眠不足になっている場合もあります。
一度、自分の生活を見直してみましょう。
また、歯の治療から舌が痛くなっていると感じている場合には、しっかりと口の中のことについてカウンセリングしてもらうことで、不安が消えて舌の痛みも薄れる場合があります。
・認知行動療法
舌痛症は認知行動療法によって治療を進める場合もあります。
主に、マインドフルネス法といった、客観的に自分を見つめることで呼吸法を知り、痛みをコントロールできるようになるアプローチがあります。
また、自律訓練法といったリラックス方法を知っていくことで、舌痛症を緩和させる治療も行われます。
ストレスと上手に付き合うことが舌痛症の予防に
舌痛症はまだはっきりと原因がわからない疾患です。
しかし、ストレスと大きな関わりがあると考えられているので、まずは食事や睡眠、適度な運動といった基本的な自分の生活を見直したり、リラックスできる生活環境を作りましょう。
また、痛みが出た時にも治すことに集中しすぎず、忘れられるような状況を作っていくことも大切です。
何か没頭できる趣味を見つけたり、呼吸法を身に付けたり、気持ちが晴れるようなことがあると、自然と痛みが気にならなくなることもあります。
歯科医院での治療の範疇を超えてしまっている場合もあります。
舌痛症は一人で抱え込まずに、歯科や精神科、心療内科も頼りながら改善していきましょう。