歯の矯正を歯科医院へ行かずに自力で行うことは可能か?

歯並びがコンプレックスになっている方は多いものです。
中には、歯並びのほんの一部分だけが出ていたり、逆に引っ込んでいたりすることが気になっている方もおられるでしょう。
ほんの少しだけなら、自力で矯正できるのではないだろうか?と考えるかもしれません。
しかし自力で歯並びを治すことには、多くのリスクが伴います。
今回は、自力で歯並びを治すことのリスク、歯科医院で矯正をした場合のメリット、また自分自身で改善できる歯並びに悪影響を与える悪い習慣について解説していきます。
歯の矯正は自分でも出来るのか
「歯を指や割りばしなどを使って、歯並びが治った」という話を聞いたことがあるかもしれません。
しかし自力で歯並びを治そうとするのは、危険です。
歯列矯正治療は、歯科医師がさまざまな検査をし、細かな計画を立ててから治療がスタートします。
それほど繊細な治療が求められるのです。
自力で歯並びを治そうとするなら、歯にかなりの力がかかるためかえって歯並びを悪くさせてしまうかもしれません。
自力で治すことはほぼ不可能だと考えてください。
自力で歯並びを良くしようとする時のリスク
自力で歯並びを治そうとすると、確かに歯は多少動くかもしれません。
しかしそこには多くのリスクが伴います。
① かえって歯並びが悪くなる
自力で歯並びを治そうとしても、強い力で動かすため力のコントロールが難しく、望んでいた方向と違う方向に歯が動いてしまうかもしれません。
かえって歯並びが悪くなる可能性が高いのです。
仮に正しい方向に力をかけられたとしても、その歯を並べるスペースがなければ、歯並びがきれいになることはないでしょう。
② 歯や歯槽骨にダメージを与える
歯は歯槽骨と呼ばれる骨に支えられています。
歯に強い力をかけると、歯や歯槽骨に強いダメージを受けるため、場合によっては歯の神経が死んでしまったり、歯槽骨の量が急に減ってしまったりするかもしれません。
歯列矯正治療では、できるだけ歯や歯槽骨にダメージを与えないように歯を徐々に動かしていきます。
③ 歯が抜けてしまうかもしれない
②でも書いたように、強い力が加わると歯槽骨が減ってしまうかもしれません。
そうすると歯を支えきれなくなって、場合によっては歯が抜けてしまう危険もあります。
④ すぐに後戻りする可能性がある
通常、歯列矯正で歯を動かした後は、歯並びを安定させる“保定期間”があります。
だいたい2年ほどかけて、歯並びがまた元に戻らないようにします。
しかし自力で歯を動かした場合は「保定することができない」、「またすぐに元の位置に戻ってしまう」ことが考えられるでしょう。
自力で歯並びを治すと多くのリスクが伴うことを覚えていてください。
きれいな歯並びを目指すのなら歯科医院へ
歯並びを良くしたいのなら、歯科医院で歯列矯正を受けましょう。
主な矯正治療には以下の方法があります。
① ワイヤーブラケット矯正
昔から一般的に広く行われている矯正治療です。
ブラケットと呼ばれる小さな矯正器具を歯の表面に接着させ、そこにワイヤーをかけて徐々に歯に力を加えて動かしていく矯正治療です。
矯正器具が目立つため抵抗を感じる方でも、歯の内側に矯正器具(舌側矯正)をつけたり、セラミック材質のブラケットを使用することで、目立たない矯正治療を受けることができます。
② マウスピース矯正
近年増えているのがこのマウスピース矯正です。
専用のマウスピースを順番通りに使用していくことで、徐々に歯並びを整えていきます。
たとえ歯並びが悪い歯が1本だけだったとしても自力ではなく、熟練した歯科医師に治療してもらいましょう。
歯並びについて自分で出来ること
しかし、自分自身で改善できることがあります。
それは“歯並びに影響を与える悪い習慣を克服する”ことです。
例えば以下のような悪習癖があります。
① 舌で前歯を押す癖
舌でいつも前歯を押していると、出っ歯になる可能性があります。
また指しゃぶりも前歯の歯並びに影響を与えてしまうため、やめさせるようにしましょう。
② 頬杖
頬杖をすると片方のあごに強い力が加わるため、かみ合わせがずれ、歯並びに影響を与える可能性があります。
③ 口呼吸
口呼吸をすると、舌が正しい位置よりも下に位置しやすくなります。
そうすると前歯を押して歯並びに影響を与えやすいです。
④ 歯ぎしり・食いしばり
普段から歯を食いしばる癖のある方は、かなりの力があごや歯に加わります。
歯がすり減って、前歯が倒れてくる危険もあります。
このような悪習癖がある方は癖を止めない限り、せっかく矯正治療をしてもまたすぐに歯並びが戻ってしまう可能性があります。
意識的に改善していきましょう。
まとめ
歯並びをきれいにしたいなら、必ず歯科医院で歯列矯正治療を受けてください。
たとえ1本の歯だけ正しい位置からずれていたとしても、自力で歯並びを治すことには多くのリスクが伴います。
歯や歯槽骨へ大きなダメージを与えたり、かえって歯並びを悪くさせたりする可能性もあります。
場合によっては、歯そのものが抜けてしまうかもしれないのです。
歯並びをきれいに整えるには繊細な治療が求められます。
熟練した歯科医師による緻密な計画の下、徐々に歯を動かしていくのです。
歯や歯槽骨にできるだけダメージを与えないためにも、必ず矯正の専門医による治療を受けましょう。
加えて、歯並びに影響を与える癖がある場合は、意識的にその習慣を止めるよう努力しましょう。